いまさらながら、排除命令
もう半月ほど経ってしまいましたが、2008年6月18日の賃貸不動産仲介の(株)エイブルに対する排除命令についてのメモ。
不動産広告の表記方法に関するルールとしては、宅地建物取引業法第32条に「誇大広告等の禁止」が定められています。
また、一般的に誇大広告等については景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)がありますが、業種毎の詳細なルールをこの法律1つに任せるのはムリなので、業界ごとに自主ルールを作成し、これを公正取引委員会が認定することにより、厳密には法律ではないものの、不当な表示(広告)かどうかの判断基準として事実上法律と同じような効果が生じます。
不動産業界においても、広告については「不動産の表示に関する公正競争規約(同規約施行規則も含む)」があり、公正取引委員会の認定を受けています。
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さて、この件については公正取引委員会の報道資料として一般に公開されていますので、お時間のある方は、以下のリンク先(公正取引委員会のサイト)をご覧ください。
→ http://www.jftc.go.jp/pressrelease/08.june/080618.pdf
以下、上記リンク先のまとめたもの。
(A)どんな表示が違反とされたのか
(1)最寄り駅から徒歩16分と表示していたが、実際には約2100mあり、徒歩約26分だった。(「道路距離80メートルにつき徒歩1分、端数切り上げ」が徒歩時間の表記上のお約束)(優良誤認)
(2)実際よりも建物を建築した時期を7~17年ほど新しいものとして表示をしていた。(優良誤認)
(3)物件が存在しないのに、あたかもあるものとして表示をしていた。(おとり広告)
(4)広告する時点で既に成約済物件であり、取引できないにもかかわらず、取引できるものとして表示をしていた。(おとり広告)
※「おとり広告」とは
公正取引委員会告示「不動産のおとり広告に関する表示」に定義があります。
自己の供給する不動産の取引に顧客を誘引する手段として行う次の各号の一に掲げる表示
一 取引の申出に係る不動産が存在しないため、実際には取引することがで きない不動産についての表示
二 取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引の対象となり得な い不動産についての表示
三 取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引する意思がない不 動産についての表示
備考
この告示で「不動産」とは、土地及び建物をいう。
(B)排除命令とはどんな命令?
上記違反の事実により、公正取引委員会が命じた内容は次のとおりです。
(1)事実よりも著しく優良であると誤認させたり、取引できない不動産等に関する表示であったことを公正取引委員会が事前に承認する方法により公告すること
(2)同様の違反をしないよう、役員、従業員に周知徹底すること
(3)今後、同様の違反をしないこと
(4)(1)の公示、(2)に講じた措置について文書で報告すること
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さて、今までの内容は「不当景品類及び不当表示防止法」に基づく公正取引委員会による処分です。宅地建物取引業法第32条(誇大広告等の禁止)違反として、免許権者である国土交通大臣による処分も考えられるわけです。
宅地建物取引業法第32条
宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若し くは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあつせんについて、著しく事実に 相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方
第32条関係
1 「誇大広告等」について
「誇大広告等」とは、本条において規定されるところであるが、顧客を集めるために売る意思のない条件の良い物件を広告し、実際は他の物件を販売しようとする、いわゆる「おとり広告」及び実際には存在しない物件等の「虚偽広告」についても本条の適用があるものとする。(以下省略)(太文字、下線は筆者)
国土交通省による行政処分については、国土交通省ネガティブ情報等検索サイトで検索をすれば概要が分かるしくみになっていますが、この記事をまとめた時点ではまだ掲載がありませんし、そもそも処分があるかどうかもは分かりません。
(2009.3.18追記)
国土交通省ネガティブ情報等検索サイトで検索したところ、平成20年12月25日付けで、国土交通大臣より指示処分を受けているのを確認しました。指示内容は、
・違反内容と、違反による行政処分の内容を役員、従業員に周知徹底すること
・法遵守の徹底と、社内教育の計画を作成して、これを継続的に実施すること
・日常業務の調査・点検と、業務管理体制の整備に努めること(特にネット広告では消費者に誤解を与えないような表示とする措置を講じること)
・上記について講じた措置を報告すること
→ http://www.ktr.mlit.go.jp/kyoku/city_park/construction/kensei/kensetusangyo/takuken/shiji004.pdf
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個人的には部屋探しの時に利用した会社であり、担当の方は迅速、正確、ていねいに仕事をしてくださって、とても印象のよい会社でした。ありきたりですが、「会社」ではなくその「担当者」の印象次第で評価が決まってしまいます。今回の件も一部地域での店舗、一部従業者の違法行為により「会社」が処分されたわけです。食品偽装などを見ても分かるとおり、短期的な利潤、売上に目が行ってしまい、社会に存在する限りルールを守らなければならないということ、職業人として持っていて当たり前な商道徳といったものが欠如するとどうなるか、ということをまたまた見せてくれることになったわけです。
(2009.12.1追記)
2009年9月から景品表示法の所管が消費者庁に移ったことにより、景品表示法の一部改正がありました。
法改正により「排除命令」から「措置命令」に名称変更されるとともに、権限が公正取引委員会から内閣総理大臣(内閣総理大臣の権限は基本的に消費者庁長官に委任されるので、実質的には消費者庁長官)に変更されています。
また、第1条の目的規定が改正され、以前の産業競争政策としての立法目的から消費者保護色を一層強めた内容に変更されています。
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