重要事項説明って(2-3) 賃料以外の金銭、とは
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前回に引き続き、重要事項説明のうち、やや込み入った説明事項について説明していきます。今回は、「賃料以外に授受される金銭の額及び授受の目的」について説明しましょう。
(1)「(C)賃料以外に授受される金銭の額及び授受の目的」について
たいてい、お部屋探しをするときに重視するポイントの1つに「家賃(月額)」があります。お金のことは重要ですから、誰しも気になるのは当然です。
しかしながら、家賃だけ払えば入居し、住み続けることができるのでしょうか? 残念ながら、家賃だけ払えばいいというわけではないのが現状です。
そこで、家賃は一番最初に教えてもらっているはずだから、ここではしっかりと「家賃以外」にかかる金銭について説明を受けましょうということです。
家賃以外に「○○金」とか「××費」などいろいろな名目があります。金額を契約前に説明を受けることで、入居に対してトータルでいくらかかるのか見当がつきます。たとえば「家賃が5万円、諸経費が1万円」ならば、実質月に6万円だなぁと理解できます。
また、「住むのに、なぜ家賃以外にカネがかかるんだよ!」って疑問に思う場合もあるでしょう。だから、不動産会社は「○○金というのは、△△のために支払っていただく金銭です」と授受の目的も説明しなければならないことになっています。諸費用の理由について納得いくまで説明を受けましょう。
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(2)家賃以外にかかる金銭について
地域や家主の考え方などの違いにより、家賃以外にかかる金銭の種類はいろいろあります。ここでは、一般的な内容と北海道でよく見受けられる「家賃以外」の金銭について簡単に説明してみます。
(イ)敷金(しききん)
金額は地域によって異なります。北海道の場合ですと1~3ヵ月分の家賃相当額が多いです。
敷金とは、借主が契約違反(法律用語で「債務不履行」といいます)をした場合に備えて貸主が預っておく金銭です。
具体的に言えば、借主が家賃を滞納したり、借主の不注意で部屋を汚したり壊したりしたときに、借主が直さなかった場合に、預っている敷金を取り崩してこれらに充当することになります。
別の言い方をすれば、これらの金銭を借主が支払わなかったときに備えての担保ということもできます。
逆に言えば、借主に一切の落ち度がない場合には、全額返金される「べき」金銭ということになります。にもかかわらず返金しない貸主がいます。簡易裁判所での少額訴訟制度(※)が導入されてから敷金の返金をめぐる訴訟が多々起こされるようになりました。
※少額訴訟制度:60万円までの金銭トラブルに利用できます。本人で手続きができるよういろいろな面で簡素化されています(たとえば訴状のフォーマットが裁判所に用意されている)。1日の審理で終了し、その日のうちに判決が出ます。
(ロ)礼金
金額は地域により異なります。北海道の場合、礼金を授受する習慣はありません。ごく一部に礼金を要する物件がありますが、オーナーが礼金の習慣のある関東圏の方というケースがあるようです。
礼金は、文字どおり「私に貸してくれてありがとう」のお礼金です。敷金と異なり、退去時には返金の対象とはなりません。家賃の前払い的性格である、とされています。
例えば、「1年契約、家賃月額5万円、礼金12万円」ならば、実質的な家賃月額は6万円ということになります。
(ハ)管理費、共益費
家賃は、あくまでも部屋そのものの使用の対価とし、部屋の外、たとえばエレベーターの電気代や保守点検費用、廊下の電気代や蛍光灯取替え費用、受水槽などの保守清掃費用など入居者全体で使用する部分(共用部分)にかかる費用として別に徴収するものです。
よって、エレベーターの有無など共用設備の違いで物件により異なります。通常、「家賃+管理費(or共益費)」の合計額を月々支払うこととなります。
余談ですが、このように家賃と管理費を分けるのは、不動産会社の(見た目の)仲介手数料(後述)を抑えることと、家賃を安く見せるためと聞いたことがあるのですが、真偽のほどは分かりません。
また、分譲マンション(売買の対象となっているマンションです)でいう管理費とやや意味合いが異なります。分譲マンションの管理費であれば支払先は管理組合ですが、賃貸の場合は家主です。
(ニ)町内会費、自治会費
地域により「町内会」だったり「自治会」など呼び名が異なりますが、最大公約数的な言い方をすれば地域での親睦団体です。月々発行される市町村の広報誌が町内会を通して配布されたり、ごみ集積場の清掃を当番で行ったりしています。
最高裁判所平成17年4月26日判決によれば、自治会は強制加入団体ではない、としています。
しかしながら、地元の人からすれば「あのアパートの住人のゴミの出し方が悪い」とか「清掃に加わらないなら、ごみ集積場は使うな!」とかそんな感情を持っているようです。
そこで、家主が地域のみなさんに配慮して、町内会費を徴収して、まとめて町内会費を払っているという場合があります。町内会費を払っているのに、市町村の広報誌がポストに入っていなかったり、ごみ集積場を利用しないで欲しいなどと言われたら、要注意です。家主に支払った「町内会費」が家主から町内会に支払われていない可能性があります。
なお、「町内会加入は任意であり、加入したくない。だから、町内会費は払いたくない」ということであれば、直接町内会に町内会費を納入していると思われる貸主とその旨の交渉をするか、町内会加入及び町内会費の納入を契約条件としているのであれば、その物件の契約自体をあきらめるかのいずれかになろうかと思います。
(ホ)火災保険料
万一、火災を起こして家主に損害を与えた場合に備えるため、火災保険に入ることが入居の前提となります。
不動産会社が保険代理店を兼営しているケースが多く、代理店収入を確保する手段として利用されています。契約書等では「家主指定の火災保険」と称してますが、本当に家主が指定しているかどうかは不明です。
(ヘ)各種清掃料
退去時のクリーニング費用を先払いしてもらう、というケースがあります。北海道の場合、暖房器具(ストーブなど)が部屋に設置されており、退去時に清掃することから、その費用を先に徴収している物件があります。ただ、直接清掃業者に依頼した方がお安い場合があります。
また、「水回り清掃料」と称して、排水管の清掃費用を先払いさせるケースがあります。これは通常使用してできた汚れをきれいにする費用ですから、本来は家賃に含まれているものであり別途徴収するのは正直言うと極めて疑問です。
排水管に薬剤を1錠入れるだけなのに、汚れの程度にかかわらず1万円以上徴収するケースもあるようで、実際には不動産会社の収益源ではないかと当方は見ています。
参考まで申しますと、今住んでいるマンション(100戸ほどありますが)の高圧洗浄(排水管に高圧水を送り込んで洗浄する方法)で1万円しません(実際には私ではなく所有者である家主さんが負担しているので詳細額は分かりませんが)。
(ト)水道料
アパート・マンションの屋上などに受水槽があって、そこから各戸に上水を供給するようなケースであれば、水道料金は水道局ではなく、家主(分譲マンションの一室を借りる場合には、管理組合又はマンション管理業者)に支払うことになります(このしくみについては、こちらの(4)を参照)。
アパート・マンション全戸分まとめた水道メーター(親メーター)があっても、各戸に水道メーター(子メーター)がない場合があります。この場合、家主は各戸に対して、使用水量に対する水道料を徴収できないため、概算額で請求してくることがあります。この場合、水道料は家賃に含めているか、使用水量に関係なく一定の概算額を月々に支払うことになります。
このような「水道使い放題」的物件(?)は、子どもがいる家族であれば洗濯物をいっぱいするなどモトが取れる場合もあるのですが、1人暮らしの男性の場合は、損している可能性が高いです。
ちなみに札幌の水道料金は、1か月当たり10立方メートル以内であれば、1か月2016円です(最低料金)。1回の入浴に200リットルだとすれば、単純に50回分。
(チ)仲介手数料
家主さんと契約をするにあたり、不動産会社がいろいろとサポートをしてくれるわけですが、そのサービスの対価にあたるのが仲介手数料です。
仲介手数料は法律上上限が設定されています(宅地建物取引業法第46条第1項、国土交通省告示)。これによれば、居住用建物の仲介については、家賃月額の2分の1(+消費税)です。
例えば家賃月額5万円ならば、26,250円が「上限」です。ただし、借主の承諾を得れば家賃月額(+消費税)を上限とすることができ、前記の例で言えば、52,500円となります。
「あれっ、オレが借りたとき家賃1ヵ月分払ったけど、『承諾』なんてしてねーよ」と思った方もいらっしゃるでしょう。物件を紹介の際に間取り図などが記された書面を見せられたり、コピーしてもらったりしたと思います。そういった書面の目立たないところに小さく「仲介手数料:借主1月分」って書いてありませんか?
それを知ってか知らずか「この物件でお願いします」だなんていったら、「間接的」に「仲介手数料1か月分払ってもいいから」と言ったのと同じことにされてしまうのです。
さすがに、この手法が賢い消費者に見破られてきたのか、「家賃0.525ヵ月分(0.5ヵ月×1.05)」とアピールしている不動産会社があります。しかしながら、これはこの不動産会社の仲介手数料が格別安いかのように見えますが、単に宅地建物取引業法の規定の原則に戻っただけのことです。
なお、仲介手数料を無料としている不動産会社や物件があります。理由としては次の3点が可能性として考えられます。
(ア)不動産会社の自社所有物件のケース
不動産会社が物件の所有者であり、貸主であるならば、「仲介」や「代理」ではないことから、仲介手数料を受領することができません
不動産会社が「貸主」「仲介(法律用語では「媒介」)「代理」のいずれの立場であるかは、広告や店頭に備え付けている物件案内用のパンフレットや図面類、重要事項説明書などに明記されていますのでお確かめください。
なお、不動産会社が貸主の場合、貸主としての不動産会社には宅地建物取引業法の規制は受けません。
(イ)貸主が仲介手数料を負担しているケース
貸主がどうしても入居者を確保したいので、貸主が仲介手数料を全額(1ヵ月分以内)負担して、契約促進を図っていることが考えられます。
ということは、不人気物件?!
(ウ)不動産会社が諸費用により収益を上げるビジネスモデルを採っているケース
仲介手数料ではなく、清掃費用などの諸費用をやや高額に設定されていることが考えられます。重要事項説明においては、「賃料以外に授受される金銭の額、授受の目的」を説明することとされています。理解に苦しむような費用項目があり、その額が賃料に比べて割高である場合には要注意です。
「無料」ということは、何かがある、と考えたほうが無難です。
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(3)注意点
注意点というほどのものではないのですが…。
(イ)訳の分からない名目の諸費用については、何のための費用なのかを納得いくまで聞きましょう。「授受の目的」が重要事項説明書に記載されていなければ、必ず記載してもらってください。後日(特に退去の際)、紛争が生じた時に重要な証拠となります。
(ロ)納得できなかったり、他を利用したほうが安く済むなど、払いたくない諸費用があった場合には、ダメもとで交渉してみてください。重要事項説明の段階ではまだ契約は成立していませんので、諸費用については確定事項ではないのです。口悪く言えば、貸主(不動産会社も含めて)の言い分に過ぎないのですから。
ハンコを押したら、「勝負」は終わってますので、交渉はそれまでに!
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(おまけ)
(この部分は、2008年10月21日追記)
所用があって、北海道庁の宅地建物取引業法の所管部署の担当の方と話をする機会がありました。宅地建物取引業法において、買主や借主に対して説明しなければならない「代金(又は賃料)以外に授受される金銭の額及び授受の目的」のうち「目的」とは何かということを質問してみました。
担当の方の話によれば、「目的」とは要は「項目」のようです。例えば、「敷金 3万円」と説明すれば「授受される金銭の額及び授受の目的」については説明したことになるとのことです。
しかしながら、「敷金」の持つ意味、効果についての知識をすべての借主が持ち合わせていないし、訳の分からない名目の金銭についてはなおのこと。そのような金銭の意味についても説明がいるのでは?と私見を述べると、「宅地建物取引業法においては、項目だけでよい。借主が理解できる内容かどうかは行政法規である宅地建物取引業法の守備範囲ではなく、紛争等が生じた場合には、民事訴訟で裁判所の判断に委ねるしかない。」とのことでした。
まぁ、行政機関としてはお約束的な回答内容です。
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